ALC外壁で雨漏りが発生する原因と対処法をわかりやすく解説!

ALC外壁で雨漏りが発生する原因と対処法をわかりやすく解説!

「ALC外壁は雨漏りしやすいの?」
「ALC外壁から雨漏りした場合はどうすればいいの?」
「ALC外壁で雨漏りしないように気を付ける方法は?」

ALC外壁は高い断熱性や耐火性を持つ優れた建材ですが、その一方で防水性能に課題を抱えているのが実情です。

特に経年劣化や施工の不備が原因で雨漏りが発生しやすく、気づかないうちに被害が広がってしまうケースも少なくありません。

この記事を書いた人

1級建築施工管理技士
山本 悠太

2013年に株式会社竹中工務店に入社し、9年間施工管理業務に従事。高層マンションなど大規模建築を担当。在籍中に1級建築施工管理技士取得。
2022年より大阪府吹田市のリフォーム会社 加藤装飾株式会社へ入社。住宅から病院・店舗など様々なリフォーム工事の施工管理に従事している。

本記事では、ALC外壁の特徴や、雨漏りが発生する主な原因を深掘りし、実際の対処法から予防につながるメンテナンス方法まで徹底的に解説します。

この記事を読めば、大切な住まいを長く守るための知識と対策がしっかり身につくでしょう。

目次

ALC外壁とは?特徴とメリット・デメリット

多くの住宅や建物で採用されているALC外壁ですが、その性能や構造を正しく理解することが、雨漏りを防ぐ第一歩です。ここでは、ALC外壁の特徴やメリット、デメリットを詳しく見ていきましょう。

ALC外壁の特徴

ALC(Autoclaved Lightweight Concrete)外壁は、軽量気泡コンクリートで構成される外壁材です。

内部に無数の気泡を含むことで、優れた断熱性・耐火性・遮音性を持っており、ビルやマンション、さらには戸建て住宅まで、さまざまな建築物で使用されています。

その性能の高さから高層建築にも採用されるほど信頼性のある外壁材で、構造的にも優れていることが特徴です。

ALC外壁のメリット

ALC外壁のメリットは軽量で強度が高く、断熱性、耐火性、遮音性に優れていることが挙げられます。

軽いということは建物への負担が少ないため、地震などの自然災害にも強い構造を実現できます。

また、耐火性にも優れ、火災時には延焼を防ぐ効果が期待されるほか、断熱性が高いことから室内の快適性が向上し、冷暖房効率が良くなるため光熱費の削減にもつながるでしょう。

さらに、優れた遮音性を備えており、騒音が気になる環境でも快適に暮らすことができます。

ALC外壁のデメリット

一方で、ALC外壁には防水性能にデメリットがあり、止水ラインと呼ばれる雨水を防ぐ層が1層しかありません

具体例で紹介すると、サイディング外壁の場合は止水ラインと呼ばれる雨水を防ぐ層が2層あり、サイディングパネルとシーリングが1層目、防水シートが2層目の役割を果たしています。

そのため、万が一サイディングパネルの破損やシーリングの劣化により1層目から雨水が侵入しても内部の防水シートが雨水の侵入を防ぐことが可能です。

一方で、ALC外壁の場合は、表面に塗装や防水といった塗膜層を作り、隙間などはシーリングを施工しますが、止水ラインは1層のみとなります。

ALC外壁自体に防水機能がないため、塗膜層やシーリングの劣化が進み、雨水が侵入するとそのまま建物内部に侵入してしまいます。

ALC外壁で雨漏りが発生する原因とは?

ALC外壁は優れた性能を持ちながら、防水面では注意が必要な建材です。

ここでは、ALC外壁で雨漏りが発生する主な原因を具体的に解説し、劣化のサインや早期発見のポイントについても触れていきます。適切な予防と対策を講じるためにも、まずは原因を正しく理解しておきましょう。

シーリングの劣化

1つめの原因は、シーリングの劣化による雨水の侵入が挙げられます。

このシーリング材は雨水の侵入を防ぐ重要な役割を果たしますが、紫外線や風雨、気温の変化によって時間とともに劣化していきます。

ひび割れや硬化が進むと防水機能が低下し、そこから雨水が浸入する原因となるため、目視で確認できる亀裂や剥離を見つけたら、早急に補修することが被害拡大を防ぐポイントです。

塗膜の劣化

2つめの原因として、表面の塗膜層劣化による雨水の侵入が挙げられます。

ALC外壁自身は防水機能がないため、防水性能は表面の塗装や防水による塗膜によって維持されています。

しかし、塗膜層は紫外線や風雨にさらされることで徐々に劣化し、劣化が進行するとチョーキング現象(触れると白い粉が付く)や色あせ、ひび割れが目立つようになり雨水が侵入する原因となります。

これらのサインが見られたら雨漏りする可能性が高くなるため早めの再塗装が必要です。

クラック(ひび割れ)の発生

ALCパネル自体にクラックが発生することも雨漏りの原因となります。

乾燥収縮や地震による揺れ、長年の風雨などさまざまな要因でひび割れが生じ、その結果表面の塗膜層が破れて雨漏りが発生します。

小さなクラックでも、雨水の通り道になってしまうため、気になる場所があれば早めに専門業者に調査してもらうことをおすすめします。

ALC外壁の雨漏りを放置するリスク

雨漏りを軽視して放置すると、建物全体にさまざまな悪影響が及びます。

ここでは、ALC外壁の雨漏りを放置することで発生する主な3つのリスクを詳しくご説明します。

建物の劣化と構造への影響

雨水が建物内部に侵入すると、柱や梁などの構造部材が湿気を含んで腐食やサビの原因になります。

木造建築であれば、湿気による腐朽が進み、鉄骨造の場合もサビが発生し、建物の強度が低下するリスクがあります。

建物を支える構造体が劣化すると修理費用が高額になるケースが多いため、定期的に外壁をチェックし、早期に対処する必要があります。

カビやシロアリの発生

湿気の多い環境は、カビやシロアリにとって格好の温床となります。

カビが発生すると健康被害が懸念され、シロアリに関しては木材を食害し、構造体の強度を著しく低下させる厄介な存在です。

早期に対策を講じることで、深刻な被害を防ぐことができ、修理費用も抑えることが可能となります。

資産価値の低下

雨漏りを放置すると、建物の劣化が進み資産価値にも大きく影響します。

市場での評価が下がるだけでなく、修繕費用がかさむことで売却時の利益にもマイナスが生じるでしょう。

そんため、適切なメンテナンスを行い、良好な状態を保つことが資産価値を守るポイントです。

ALC外壁で雨漏りが発生した場合の対処法

もし雨漏りが発生してしまった場合でも、正しい対処をすれば被害を最小限に抑えられます。

ここでは、ALC外壁から雨漏りが発生した際の正しい対処の方法を紹介します。

応急処置

まずは、応急処置を行い被害の拡大を防ぐ必要があります。

応急処置の方法は様々ですが、ブルーシートで外部からの雨水の侵入を防いだり、室内で漏れてきた水をバケツで受け止めたりなど、雨水による被害を最小限に抑える必要があります。

また、濡れた部分を扇風機などで乾かすなどしてカビが発生しないような処置を行いましょう。

応急処置は、あくまで一時しのぎの対応ですが、被害を最小限に抑える上で非常に有効な手段です。

専門業者への相談・依頼

応急処置を終えたら、早めに専門業者へ相談することが大切です。

雨漏りの原因は複雑で、目に見えない部分で進行しているケースも少なくありません。また、一時しのぎの修繕ではなく、プロによる根本的な解決が必要です。

そのため、雨漏り発見後は専門業者に点検を依頼し、必要な補修やメンテナンスの提案を受けましょう。

ALC外壁の雨漏りを防ぐための日常点検の方法

ALC外壁の雨漏りを防ぐためには、日常的な点検が必要不可欠です。

ここでは、簡単にできる日常点検の方法をご紹介します。

外壁チェック

  • 外壁のひび割れ
  • シーリングの劣化
  • 塗膜層(塗装・防水)のめくれやひび割れ

外壁の状態は定期的に目視で確認する必要があります。

シーリングのひび割れや塗膜の剥がれ、クラックの有無など、わずかな変化でも見逃さず、気になる点があれば専門業者に相談する姿勢が大切です。

塗装の耐用年数確認

使用している塗料の耐用年数を把握し、適切なタイミングで塗り替えを検討しましょう。

塗膜が劣化すると防水性能が著しく低下するため、10〜15年を目安にメンテナンスを計画することをおすすめします。

また、耐用年数が近くなった場合は定期的に点検を行い、雨漏りを未然に防ぎましょう。

内装材の確認

外壁だけでなく、室内の壁紙や天井にシミやカビがないかチェックすることも重要です。

外観に問題が無いようにみえて、実は雨水が室内に浸入している場合も考えられます。

雨漏りの早期発見が被害の拡大を防ぐため、外部・内部両方の点検を実施しましょう。

異変を感じたら専門業者へ連絡

外壁や室内にいつもと違う変化を感じた場合は、迷わず専門業者に相談しましょう。

シーリングの劣化やクラックの発生など、初期段階のサインを見逃さず、早めに対応することが大切です。

すぐに専門業者による点検を受けることで、問題箇所を正確に把握し、適切な補修方法が提案してもらうことができるでしょう。

また、ご自身では発見できなかった問題点が見つかるかもしれません。

大規模な修繕が必要になる前に対策を講じることで、建物の寿命延長や修繕費用の抑制にもつながります。

ALC外壁の雨漏りは早期発見・早期対策がカギ!

ALC外壁は優れた性能を備えているものの、防水層が単層であるためメンテナンスが欠かせません。

シーリングや塗膜の劣化を早期に発見し、適切なタイミングで補修することが雨漏りリスクの軽減につながります。

万が一、雨漏りが発生した場合は応急処置を施し、速やかに専門業者へ相談しましょう。

下記記事では、雨漏り修理専門の業者を紹介しています。少しでも異変を感じたら、相談してみましょう。

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この記事を書いた人

【資格】一級建築施工管理技士
吹田市のリフォーム会社「加藤装飾株式会社」の工事担当 | 株式会社竹中工務店に新卒で入社。9年間施工管理業務に従事。その後、加藤装飾株式会社に入社。

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